ツアーナースの実態!本当に旅行が楽しめる看護師の仕事なのか?
タイトルからもうガッツリ喧嘩売ってますよ~(笑)
私は、初めて病院以外の仕事をしたのがツアーナース(看護師5年目のとき)だったのですが、その後も継続的にツアーナースをするようになって…
もし結婚していなかったら、ツアーナースで全国や世界を飛び回るようなのもいいなと思っていました。
それくらい、ツアーナースは大変なこともあるけど、勉強させられることも多いし、私なりに魅力を感じていた仕事だったからです。
しかし、ネットでよく見かける、
「旅行好きな看護師におすすめ!」
「タダで旅行に行ける!」
みたいな、いいところだけをピックアップして、記事にしていることがとても許せませんでした。
ツアーナースってそんなキャピキャピ遊びに来るような仕事ではないし…
隠れた部分で皆さんすごく努力しているのに、あたかも楽しい仕事として紹介されていて、その人たちとの温度差がすごく嫌でした。
また、先日ツアーナースのための研修に参加したこともあり、その内容もネタバレにならない程度に、自分の経験や感じたことに落とし込んで、実態についてまとめていきたいと思います。
ツアーナースはサービス業
ツアーナースとは学校や企業などの団体旅行、個人旅行に添乗する看護師のことをいいます。
主に健康管理や看護対応がメインですが、個人的にはサービス業としての側面がかなり強い仕事であると思っています。
看護師としての仕事だけでよければ、ケガや具合の悪い人が出たら対応するだけでいいと思うのですが、ツアーナースの仕事は実はそれ以外のサービス面の方が多いからです。
それぞれの旅行としての目的があって、ツアーナースはその旅行が安全にスムーズにいくように、看護師の視点で全体を調整する立場。
教育旅行の目的であれば、集団行動のなかで規律を守ることであったり、企業旅行であれば研修、スキルアップなどが考えられます。
なので、依頼主側(学校や企業など)の目的や要望に沿いつつ、どこまでできるかできないかを考える、あくまでサポート的な調整役なのだとセミナーで再認識しました。
たまに見かける、看護師なのに観光に熱中してしまって、子どもは置いてけぼり…子どもたちより先にお土産を大量買い。
時間に遅れる、スマホをずっといじっている看護師なんて…論外!!
実際にそういったクレームもあるらしく、看護師って本当に社会性ない人多いんだなって思うことはけっこうあって(笑)
病院一歩出たらただの人って思うときがあります。
病院とは全然違ったフィールドで、ツアーナースは看護を含めたサービスを提供する側であって、旅行のサービスを受ける側ではないんですよ!!って、顔面グーパンしたいですね。
ツアーナースを勘違いしているイメージ
「看護師一人でできる仕事って楽だよね」
ツアーナースは旅行に参加する人数にもよりますが、看護師一人のことも多いです。
なので、一人で自由にできる気楽なイメージがあるのかもしれませんが、やっていることは病院の仕事と変わらない部分もあると思っています。
病院であれば、医師の指示のもと、患者家族の対応をしながらコメディカルなどと連携していくことは日常茶飯事ですが、それはツアーナースでも同じことです。
たとえば子どもで熱が出た子がいた場合、本人の訴えや状況をアセスメントしてから、担任の先生に報告し、家族へ連絡したほうがいいこと、受診するかなどを責任者である校長先生へ相談します。
もし感染症の可能性があれば、部屋を隔離するために、新しい部屋を準備してもらうように宿の人に頼んだり、これからの工程をどう過ごすかを旅行会社の人などと相談するなど…やることはいっぱいです。
さすがに、看護師がすべて一人でやるわけではないですが、調整役として声掛けをしていく場面は多いと思います。
なかには、受診したほうが良さそうな状況なのに、先生は「このくらい大丈夫ですよ」と甘く考えられてしまうことも…
学校の言いなりになるのではなく、きちんと医療職者として受診をしなければ、危険な状態になるかもしれない根拠を伝えるようなこともあります。
他にも、先生の手が足りなければ、食事の準備を手伝ったり、お風呂の巡視、移動時の交通整理みたいな学校の先生みたいなことも状況をみながらやります。
これを、
「看護師なので、看護に関わることしかしません!」
と言ったもんなら、学校との信頼関係はゼロになりますし、最悪クレームもらって出禁になるかもしれませんね。
「ツアーナースの仕事、楽だよね」って言っている人、本来のツアーナースの役割をきちんと果たせていないのではないか?と疑う気持ちしか出てきません。
これから始める人は、「旅行が楽しめる仕事」という謳い文句だけには気を付けてください。
「いつも痛み止め飲んでるならこれ飲んでいいよ」
診断や処方を行うのは医師であり、看護師はいたしません。
ですが、医療職が一人だからか、たまにミニドクターみたいな看護師がいて、私も頭を悩ませることがあります。(年配の看護師に多いので)
看護師であっても、頭の中で「インフルエンザかもしれない」と疑って早めに行動することはありますが…
自分の考えを全面に押し出す!みたいな看護師は、後々問題が起こった場合に責任に問われる可能性があります。
本来は学校の責任者である校長先生などが最終判断をして受診する、工程に参加しないなど決めます。
それを看護師が行ってしまうと親からなにかクレームが来た時に「看護師がそう言いました」と言われかねない、責任を問われるかもしれないということです。
内服薬に関しても、子どもであれば、保護者の確認なしには渡すことはありません。
こうした行為に対して、ツアーナースの仕事は依頼主との業務委託契約(直接契約みたいなもの)であり、所属する会社は責任を負わないということで、完全に個人の責任になります。
これはセミナーの講師の先生も口を酸っぱくしてお話していました。
使命感があるのは悪いことではありませんが、間違った方向にいくと、大変なことになってしまうのですね…こわいこわい。
「小児科の経験がないけど、大丈夫かな?」
実際にツアーナースでは林間学校などの小学校の案件が多いと、小児科経験がないとできない仕事と思われているようです。
個人的には、小児科や保育園にいたときの経験や知識はとても役に立ったとは思いますが、対応する症例としても発熱、頭痛、腹痛から捻挫・打撲、切り傷、アレルギーの蕁麻疹、結膜炎、虫歯、メンタル系など…
小児科、内科、外科だけでなく、口腔外科、精神科、感染症、薬に関するものまで多岐に渡る診療科の知識が必要になります。
また、旅行先別では登山や海、スキー、海外など、年齢別では幼児~高齢者までによって、それぞれカラーがガラッと違ってきます。
応急処置や一次救命処置(BLS)だけでも、日ごろから知識やスキルをアップデートさせ、ツアーナース同士、実際に関わった学校の先生や旅行会社の人から情報を常にもらうことが大事だと再確認しました。
それでもツアーナースの魅力ってなんだろう?
ツアーナースの大変な部分をピックアップしてお話しましたが、それでもツアーナースが人気なのは、やっぱり旅行の楽しさだけではない得られるものがあるからです。
私は、ツアーナースって看護師のなかでもさまざまなスキルが必要だと思っています。
ツアーナースをやり始めたときから、病棟での看護に幅が持てたというか、今まで狭い視野で物事を考えていたんだなと気づくことができました。
普段病棟であれば、診断された患者さんが入院してきて治療するわけですが、その前の症状が出る段階、さらにその前の予防の段階まで踏み込んでいけるのです。
よく学校の先生などに、
「今回の旅行は何もなくてよかったね」
と言われることがありますが…
私は病院にいたときも、「何もなくてラッキー」なのではなくて、それは自分なりに予測を立てて、先回りして行動できた結果だと思っています。
そうして看護としての意味が繋がっていくものだと思いますし、そう考えられないとただ看護の知識があるだけ人になってしまいます。
実際に行動できなければ意味がないですよね。
なので、私は子どもたちや学校の先生が「何もなくてよかった」とツアーナースの苦労に気づかないくらい、旅行を楽しんでくれたり、スムーズに工程が進んでくれることが一番嬉しいです。
そして、帰りに自分のためにこっそりお土産を買っていくのです(笑)
まとめ
現在は、結婚をして妊娠も考えているので、ツアーナースはほとんどやっていません。
しかし、以前お世話になった学校様と旅行会社から、ご指名をいただいたので、久しぶりにツアーナースへ行ってこようと思います。
感覚が鈍らないように、自分の認識の再確認や、足りない部分を補うため…
今回株式会社パーソナルアシスト様が企画したツアーナースの研修に行ってきたのもそのためです。
こちらのページ↓
株式会社パーソナルアシスト 詳細情報ページ | 医療 看護 介護のセミナー・研修情報サイト メデュケーション
もし、ツアーナースをこれからきちんとやってみたいと考えている方には、ぜひ受けてもらいたいです。
丸一日がかりで、ツアーナースの役割背景からマナー、法律、実務内容など網羅できます。
このセミナーは2年前からスタートしたらしく、私がツアーナースを始めたときにはマニュアルなどもなかったので、コツコツ一人で振り返りをしながら勉強してやっていました。
それが、経験豊富な講師の方から教わることができ、自分のやってきたことが間違っていなかったと確認しながらできることは、とても安心に繋がります。
特に法律的な部分や海外ツアーナース事情は知らなかったこともあり、とても勉強になりました。
旅行する人も、付き添う看護師にとっても安全に。
これから需要が増えるであろうツアーナースの仕事をもっと質の高いものとして、確立していくであろうと思い、願っています。
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