看護師兼ライターしらいしゆみかのブログ

フリーランスで働く看護師兼ライター。いろんなところで働いた経験から、看護師の働き方や悩み、生き方について本音で語るブログ。たまに雑記も。

スポンサーリンク

いつまでも白い羽根【書評】看護学校は生き方を考えさせられる場所

看護学校が舞台のドラマ。

 

このニュースだけでも、ついに来たか!と心躍るような気持ちと…

どうせキラキラしたハッピーエンドなんじゃないの?という相反する気持ちがあった。

 

医療ドラマはさまざまなものがあるけれど、看護師がメインとなるドラマは多くはない。

実際の現場に近い親近感がわくようなものは、さらに少ない。

ましてや看護学生がメインで。

 

しかし、原作は看護師として実際に働く藤岡陽子さんの著書「いつまでも白い羽根」であるという。

読んだことはなかったが、ドラマを見てイメージができあがる前に、ふと純粋に原作を読んでみたいと思った。

 

 

普段の私はライターの端くれのくせに、書評が苦手…

だけど、今回どうしてもまとめたかったので、勉強のために頑張って書いてみた。

ネタバレはありませんので、どうぞご安心を。

  

さて、看護師の学校や仕事に興味がある人、看護学生、看護師として働いている人へ。

それぞれの人にとって、作品のタイトルの意味が希望であるのか、縛られたものなのか、綺麗ごとに感じるのか…。

そんな看護学校を舞台にした本を紹介します。

 

スポンサーリンク
 

 

 

著者プロフィール

 

【プロフィール】

藤岡陽子(ふじおか・ようこ)

1971年京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。報知新聞社を経て、タンザニアダルエスサラーム大留学。慈恵看護専門学校卒業。
2006年「結い言」が、宮本輝氏選考の北日本文学賞の選奨を受ける。
2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。他の著書に『海路』がある。

引用:インタビュー 作家 藤岡陽子さん|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー

 

www.webdoku.jp

 

経歴で興味深いのは、新聞社や留学からの看護学校入学。

しかも、慈〇看護専門学校って…

私が専門学校を探していた時に、ここはかなり厳しいから辞めた方がいいと言われた学校。

それだけで、作中の学校生活もなんとなくイメージすることができそうだ(笑)

 

作品の背景 

f:id:yumikaorururu:20180306114134j:plain

この作品は、看護専門学校を舞台に描かれたもの。

看護系の高校や大学とは、少し違った学生の背景が浮き彫りになることで、看護学校の特殊な世界が浮き彫りとなる…。

 

実際、私がいた専門学校も高卒で入った子は7割ほどで、社会人経験や他の大学などを卒業してからの学生もいた。

家庭の事情や訳ありで奨学金をいくつかもらう学生、退学者も多かったので、作品のストーリーにもすんなり入り込むことができた。

 

決してドラマのような世界ではなく、現実としてこのような学校や学生も存在するということ。

看護学校は特にこうした特殊な世界が多いのではないかと思っている。

今は学校の状況も少しずつ変わってきているかもしれないが、私の年代以上で専門学校卒業の人はわかる部分も多いことだろう…。

 

作品の概要

f:id:yumikaorururu:20180308180935j:image

大学受験に落ち、家庭の事情で看護学校に通うことになった主人公。

日々苦痛に感じるなか、看護学校に通い出会ったのが正反対の性格ともいえる、不器用だけど素直で心優しい友人と、看護師を目指す背景がさまざまなクラスメイトたち。

 

淡い恋事情が時折顔をみせながら、看護学校での厳しい学校生活や実習で、人の命に直面し、それぞれもがき葛藤する。

看護師として、人として真正面から患者や看護、そして自分と向き合っていく強い姿勢を描いた作品。  

 

作品の魅力

看護学校は生き方を考えさせられる場所

f:id:yumikaorururu:20180306121823j:plain

とにかく読んだあとは爽快感があった。

昔はこんなことを思い悩んでいた時期があったと、各場面で記憶が蘇る。

 

私自身が専門学校の卒業でもあるためか、登場してくる主人公やクラスメイトがそれぞれ自分の同級生に置き換えられる不思議な感覚。

特に主人公と一番の友人との関係性は自分と重なる部分もあった。

人の死生観について、腹を割って語り合える友人はなかなか簡単に出会えるものではない。

 

そして、看護学校には純粋に看護師に憧れて…看護師の仕事が好きで…

という人だけではないのだという現実。

なかには要領よくというよりずる賢く、人間の傲慢な部分がどうしても見えてしまう人もいる。

組織のなかで生きていくことの息苦しさも同時に味わうことに。

 

主人公が「自分さえしっかりしていれば…」のように表現しているが、

「この人たちが同じ看護師を目指している、看護師であるなんて虫唾が走る…」

という場面は私自身も確かに感じたことがあった。

 

それでも、実習を通して真正面から患者と向き合うことで感じたこと、患者から教えられた数々のこと…

あのとき実習で感じたやりきれない気持ちなどが、この作品には全部詰まっていた。

 

きっと、「看護師になったら、今の学生のようなままではいられないかもしれない」という気持ちや看護、医療に対する疑問を感じながらも、真っすぐに自分の人生に向かって強く進む主人公の姿勢が、真摯に胸に突き刺さる。

 

看護学校での出来事を通して、

常識とは、正しいこととは何だろうか…

そのヒントがこの作品にはいくつもある。

 

 

現在看護学生の人は、要領よくこなすだけの学生になっていないだろうか?

看護師として働く人は、感情のない仕事をしていないだろうか?

 

作中にこんなセリフがある。  

「白は何色にも変わる。あなたはこのまま真っ白でいなさいよ」 

いつまでも白い羽根 藤岡陽子 | 光文社文庫 | 光文社

p420 より引用 

はたして、今のあなたは何色だろうか…?

  

看護師として人として大事なこと、どうやって生きていくかを…

どうかこの作品を読んで拾ってきてほしい。

 

 

↓ドラマ見逃しちゃった人はこちらからでも見れます!

プライムビデオ

フジテレビオンデマンド

 

看護師がテーマの他作品も注目!

 

ドラマは、青春要素が強くなりそうな気がしてならない…

が、個人的にはどうなるかハラハラドキドキしながら観ようと思います(笑)

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!