看護師に人気の小児科はどんなところ?役割ややりがいを教えします!
こんにちは~看護師兼ライターの白石弓夏(しらいしゆみか@yumika_shi)です!
みなさんは、小児科のイメージってどんなものがありますか?
子どもが可愛い、看護師や医者も優しい人が多い、人気が高い診療科というポジティブなイメージ…
新卒ではスキルが身につかない、 看護師として将来経験が生かせるのかなどのネガティブなイメージもよく聞きます。
私自身、実際に小児科と成人病棟の両方で働いた経験があり。
小児科が好きなので、ネガティブなイメージに関しては特にもやもやすることがあります。
そこで!!
新卒から小児科で経験を積んだ私が、
- 小児科ってどんなところなのか
- 小児科と他の診療科との違いについて
- 現在どのように経験が生かせているのか
- 小児科のやりがいについて
などなど…まとめてみました。
小児科に興味がある学生さんや看護師、現在小児科で働いているけどその後にキャリアをどうしようか悩んでいる看護師に参考になればと思います。
小児科って実際どんなところ?
小児科の種類
出典:看護師🎨イラスト集【フリー素材】|看護roo![カンゴルー]
まずパッと思いつくのが、
- 大学病院や総合病院の小児科
- 小児専門病院
- 小児科クリニック
などの病院やクリニックでの小児科。
他にもリハビリ病院(肢体不自由児病棟、重症心身障害児病棟)などの福祉寄りの施設もあります。
私はこの中でいえば、総合病院の小児科とリハビリ病院(肢体不自由児病棟)、それ以外に認可保育園、小学校の保健室、ツアーナースなどの経験(派遣ですが)があります。
若干病院によって決まりごとが違う部分もあるのですが、まずは私がいた総合病院の小児科での話をベースにしていきます。
小児科とNICUは何が違う?
この部分があやふやな人も多いと思います。
大きく小児科というくくりにされているかもしれないNICUの正式名称は、新生児集中治療室。
小児科よりも、周産期のくくりの方が近いと思います。
小児科とNICUの大きな違いは、
NICU:妊娠・出産時に母子のどちらかに異常がみつかって生まれた赤ちゃんが入院するところ
(早産児あるいは低体重児、呼吸障害や心疾患がみられる場合など)
小児科:出産時以降に疾患などで治療が必要な場合に入院するところ
(新生児期でも小児科に入院することはよくあります)
低出生体重児で生まれてNICUに数か月入院、いったん退院したけど、風邪が悪化してしまった場合などには小児科へ入院となります。
そのときには、NICUの人に情報を確認することもありますし、NICUにずっと入院していた子でも1歳を過ぎたら小児科へ転科するなどの決まりもありました。
(このあたりは病院によって決まりがあるかな)
小児科と新生児科の医師は兼任している人もいるので、比較的繋がりはある部署です。
対象年齢は?
対象年齢は病院によって違いがあるかもしれませんが、私がいたところでは0歳~18歳まで。
例外としては、幼少期から長らくかかっている慢性疾患や障害を持った患者の場合、20歳を過ぎても小児科にかかってくることも稀にありました。
このあたりは、小児科から内科の先生へどのようにバトンタッチされるか、家族の希望などの兼ね合いもあるのだと思います。
また、季節的に小児科の患者数が少なくなると、成人の入院もよくありましたね(笑)
私が経験したなかで一番月齢が小さい赤ちゃんは、生まれて3日というケースです。
まさか、小児科で新生児用のインファントウォーマーをフル稼働するとは思いませんでした。
小児科の看護で私が感じる特徴的なところ
1. とにかく年齢層や診療科が広い
小児専門病院であれば診療科が分かれているかもしれませんが、総合病院などの小児科では診療科や年齢はバラバラです。
年齢層によって入院する疾患もさまざま。
乳幼児であれば喘息、肺炎、中耳炎、尿路感染症、川崎病、熱性痙攣など。
小学生以上になると慢性疾患の教育入院や思春期特有の摂食障害などで来る子もいました。
他にも脳腫瘍や交通外傷、虫垂炎や鼠経ヘルニアなど。
私がいたところでは、循環器でオペができる先生がいなかったので、それ以外は比較的なんでも受け入れる傾向でした。
病院に在籍している医師によって、対応する診療科には差があると思います。
2. 処置一つにしてもそれぞれ工夫が大事
出典:看護師🎨イラスト集【フリー素材】|看護roo![カンゴルー]
小児科特有なのが、年齢によって処置や対応が変わるもの。
同じ喘息や肺炎などの疾患であっても、寝返りができない赤ちゃんは酸素ボックスといって、インスピロンネブライザーの酸素が充満した箱の中で寝てもらいます。
しかし、一人でお座りできる月齢になってからは酸素ボックスだと邪魔になるので、酸素マスクなどに切り替わります。
マスクもきちんとつけていてくれる子ばかりではないので、マスクの部分に好きなキャラクターの絵をかいたり、シールを貼ったりして、興味を持ってもらえる工夫をします。
成人であれば、CT・MRIの検査などは「患者さん一人で行ってきてください」ということもありますよね。
しかし、小児の場合(特に乳幼児期)には基本看護師か家族の付き添い、検査の説明(プレパレーションなど)をしても、泣きわめいて暴れる子もいます。
そんな場合には、軽めの睡眠導入剤を(トリクロリールシロップなど)飲ませて、寝かせてから検査に行くなど前準備がありますが、これがかなり大変です。
使用する薬によっては、呼吸抑制が起こるリスクもあるので、救急セットを常備して、最悪担当医が付き添って…ということもあります。
採血などの処置も、採血する人と腕を押さえる人が1~2人入ったりと、何をするにしても人手が必要なのが小児科の特徴です。
3. 育児のフォロー、家族ケア
病院によっては、母親や家族の付き添い制としているところや、付き添い禁止としているところもあります。
私がいたところでは、24時間付き添いが基本でした。
そのため、日ごろから育児に関する悩みを相談されることも多かったです。
たとえば、内服薬について。
粉薬はまずくて吐き出したり、勘のいい子は、食事に混ぜたとしてもすぐに気づいて食べなくなってしまうこともあります。
そんなときには、粉薬を丸めて舌につかないように、頬の内側がくっつけるとか…
スポイトで口角からさっと入れて、あごを押さえるとか…
ちょっとしたポイントをアドバイス。
抗生剤とジュースは相性が悪すぎるので、バニラアイスや練乳だと苦みが出にくいとか、そうしたことを母親の苦労をねぎらいながら一緒にチャレンジすることも多いです。
母親だけでなく、父親とその家族に関するケアも小児看護では大事になります。
4. フィジカルアセスメント、安全管理能力が鍛えられる
乳幼児期で言葉がしゃべれない年齢の子は、痛いとか気持ち悪いとか眠いとか伝えることができず、なんならすべて泣いて表現します。
そんなときに、ただ機嫌が悪いだけなのか、なにか症状があるのか…
見極めるには、普段からよくみてくれている母親から情報をもらいつつ、看護師自身でもよく観察をしてアセスメントすることが求められます。
成人であれば経過や訴えを言葉として出してくれますが、それがほとんどない中で、いかに情報が得られるかにかかっているのです。
また、乳幼児期の子どもはなんでも興味深々で、周りには危険がいっぱいです。
普段なにげなくバイタルに使っている体温計や心電図モニター、点滴の三活部分などを舐めて口に入れる…。
ほかにも点滴ルートを引っ張る、ベッド柵からの転落…あげだしたらキリがありません。
年齢が上がってくるにつれて、行動範囲も広がるため、また違った危険が出てきます。
そうした危険と隣り合わせの中でも、子どもが安全安楽に過ごせるように環境を整えることも看護師の仕事です。
小児科のイメージや悩みについて答えてみました!
1. どんな人が小児科に向いていますか?
前提条件としては、子どもが好きでないと厳しいのではないかと考えます。
同期では小児科希望でなかった人がいましたが、
「やっぱり子どもは苦手、泣かれるとどうしたらいいかわからない」
と、異動するときまでずっと言っていました。
大人だとスムーズにいくことが、子ども相手だと、そうでないことの方が多いかもしれません。
採血するよー!
は、9割の子が泣いて暴れます。
それを泣かせないようにするのはなかなか難しい…
現場として実際問題できるのは、まず安全に、子どもの気持ちを受け止めつつスピーディーにやる!って感じです。
そこに対して思うようにいかずイライラしたり、感情的になる人は一発で子どもに嫌われるので向いていないと思います。
親からクレームが来る可能性もありそうですね。
子育てしている人はわかると思いますが、子どものペースで待つことができる人、子どもの機嫌に振り回されないような人がいいのかな…なんて。
普段の私はものすごくせっかちだし、イライラすることが多いですが、仕事では全くそんなことがないからか、小児科で楽しくやっていけるのだと思います(笑)
2. 小児科は子育て経験があったほうがいいのでしょうか?
よく子育て経験者優遇とか聞きますが、子育て経験があれば、より母親目線で関わることができると思います。
「赤ちゃんが生まれて最初の数か月は寝不足でね~」
「仕事中におっぱい張っちゃって大変だった~」
とか、共感できる部分があるのは武器でもあります。
しかし、私自身子育て経験がなくても、その点で不憫に感じたことはありません。
場合によっては、若い看護師はなめらりたりするのかもしれませんが、それは成人病棟でも変わらないと思うのです。
ただ、小児科興味があるけど、子育てひと段落してからいきたい!という人もちらほら見かけます。
そのため、新卒時ではスキルが身につかないから入職希望に上がらない小児科ではありますが、転職や再就職などでは人気の診療科だといわれています。
(私も小児科やりたいけど、なかなか募集しているところが少ない笑)
3. 小児のリハビリで働くメリットデメリットはありますか?
私は一般病棟の小児科と肢体不自由児病棟での経験がありますが、小児リハってちょっと独特ですよね。
メリットデメリットというよりは、自分が興味あるかないか…ってところじゃないかな?と思います。
たとえば、リハビリを受ける子どもで多いのは、骨折などの運動器疾患だけでなく、脳性まひや精神運動発達遅滞、染色体異常などの先天性によるものもあります。
小児のリハビリでは、母親との繋がりも強いので、これまでの母親の葛藤だったり、子育てで大事にしていることをきちんと理解しながらリハビリしなくてはいけません。
なので、教科書通りにいかないケースバイケースなことも多いです。
また、小児科では避けては通れない虐待問題。
虐待によって障害を負ってしまい、リハビリが必要になることもあります。
反対に障害があることで、家族が育てられないと育児放棄、社会的入院になる子どももいます。
小児科の明るく元気なイメージばかりではなく、シビアな現状もあることは知っておいてほしいです。
そうした、子どもや家族の心理面なども一緒に勉強しなくてはいけないのかなと思います。
4. 親御さんへの対応は、どんなことに気を付けていますか?
よくこのような悩みは新人看護師から聞かれます。
小児科の場合、子どもの心を開かせるにはまず親との信頼関係を作る!みたいなことがありますが、その通りだと思います。
私が働いていたところは付き添いが基本だったので、そうした母親をまず労うことから始まります。
お母さん、昨日は眠れました?
最近おうち帰ってます?今日はお預かりしましょうか?
子どものバイタル測定や処置なども並行して入り、母親とも会話をはさみながら…といった感じです。
乳幼児期の子どもであればこのパターンが多いですね。
ただ、子どもが入院すると大半の母親は、
「自分がちゃんと見ていなかったから」
「あのときこうしていれば…」
と、自責の念に駆られる人も多いです。
特に障害が残ってしまったなどの場合は、母親のケアも優先的に行うこともあります。
このあたりの対応で難しいと感じる人が多いのかもしれませんが…
私たちにできることは「お母さんのせいじゃないよ」と励ますことではなく、現実とどう向き合っていくか、考えて乗り越えるのは母親自身なので、そのフォローをするところです。
そのフォローには正解がないので、看護師一人で考えるのではなく、先輩や他のスタッフに相談していく…
これは成人病棟であっても変わらないところですね。
5. 小児科って家族からのクレーム多いですか?
小児科はクレームが多いというイメージがあるようですが、私はそこまで感じたことがありません。
成人病棟へ転職したときもクレームはありましたし、そのあたりはモンスターペアレントなどのイメージが強いのでしょうか…。
基本的に付き添いをしていた私の病棟では、看護師の大変さを一番わかっていてくれているのは「母親」だった気がします。
私たちも母親が付き添いで一番苦労しているのを知っているので、お互いに労う…みたいな関係性ができあがっていたのも関係しているかもしれません。
6.小児科はスキルが身につかないは本当ですか?
小児科によって、乳幼児の採血や点滴、導尿などは看護師ではなく医師が行うとしているところもあります。
私も新卒で入ったところではそうでした。
ただ、たまに外来へヘルプに行っては、処置をさせてもらっていましたし、小学生以上であれば成人と変わらず処置をしていたので、スキルが全く身につかないわけではないです。
毎日のように処置が多い病棟に比べると、そういった機会は少ないかもしれませんけどね…。
新卒のときや若手看護師のときには、そういった目先のスキルができないと…
と思いがちですが、自分自身が今後どうやってキャリアを積んでいきたいかによって、スキルだけがすべてではないと思っています。
7. 小児科の経験が生かせる場所は他にありますか?
私が思いつくあたりでは、
などがあります。
こういったところでは、小児科経験者が優遇される場合が多いので、小児科経験あると働けるところって意外とあって良かったな~と思います(笑)
8. 小児科って体力的に楽ですか?
成人病棟のような移動介助、入浴介助、食事介助などの体力的なケアはそこまでないかもしれません。
ただ、子どもは夜に熱を出したり、喘息が悪化したり具合が悪くなることが多いので、夜間の入院が多いです。
私が小児科にいたときには、夜間(17時~翌朝9時まで)だけで10人入院が来たこともありました。
また、検査や処置で安全確保のために、腕や体幹を固定する(関節を押さえる)ということも。
泣いて暴れることもしょっちゅう、夜眠れなくてあやすこともあるので、意外と体力的な部分もあります。
そこは成人病棟と少し違った面かもしれないですね。
小児科看護師のやりがいとは
ぶっちゃけやりがいに感じる部分は、人それぞれだと思いますが…
私は小さいときに入院経験があって、看護師になろうと思った理由の一つでもあります。
子どもって元気に成長するのが当たり前みたいなイメージですが、小さいときに入院して治療するって人生のなかでも一大事なんです。
そのときの思い出ってトラウマになってしまうような子もいます…。
私の場合、入院したときに担当してくれた男性看護師をよく覚えていますし、一人で入院していたのに楽しかった思い出があります。
入院というネガティブなイベントがあっても、ポジティブに変えられるような、そんな関わりができる看護師っていいな~なんて。
それを退院する子どもからお手紙をもらったり、元気な姿で遊びに来てくれたりすると、とても嬉しいことです。
あとは、子どもの成長を間近で見られることでしょうか。
短い入院中であっても、歩けるようになったとか、しゃべれるようになったとか…
嫌いな野菜食べれるようになったとか、本当に小さなことでも嬉しくなります。
子どもってとても素直なので、大人社会で蔑まれた心も洗われるような気持になります(笑)
まとめ
私は新卒で小児科に配属になり、その後成人病棟などを経由しましたが、もし病棟に戻るとしたらやっぱり小児科がいいな~なんて常々思っています。
また、これからは病院の小児科だけでなく、子どもを取り巻く環境もさまざまに変化してきています。
保育園の看護師や病児保育が増えてきたのもその一環ですね。
そんな風に、私と同じように小児科が好きで、小児科で頑張っていきたいと思ってくれる看護師が増えてくれたら嬉しいです!
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